ワイヤレスセンサ用
    太陽電池

改装工事中

1.太陽電池による独立電源の必要性
 ワイヤレスデータ伝送技術の発展に伴い、センサにこの技術を応用する動きが広まっているが、ワイヤレスの特徴である設置の自由度と経済性を生かすには電源の独立性も確保すべきであろう。近くに電源のない場所にセンサを設置する場合、電源供給ラインの設置費用がセンサ自体の価格を上回ることもある。また、電源供給ラインがあれば、それに信号を乗せることもでき、ワイヤレスの効用が減じてしまう。電源の独立化は電池により容易に実現できるが、一次電池は残量確認と交換作業が必要であり、二次電池も定期的な充電作業を要する。保守の手間を省くには太陽電池と二次電池を組み合わせた電源が必要となる。

 太陽電池と二次電池を組み合わせた電源システムは、太陽光発電システムとしてすでに家庭にも入り込んでおり、特に目新しい技術ではない。しかしながら、センサはしばしば爆発性のガスが存在する危険場所に設置され、防爆構造を要求される。防爆には耐圧、内圧、本質安全と各種あるが、その中で本質安全防爆が次節に述べるように太陽電池の特性に適合している

図1 太陽電池電源システム

2.本質安全防爆について
 本質安全防爆とは回路の切断や短絡事故で火花を生じても、火花のエネルギーが小さくて、周囲の爆発性雰囲気に着火する恐れのない方式をいう。ヨーロッパで発達した技術であり、耐圧防爆が主流の日本とアメリカでは普及が遅れているが、小型軽量ローコストな上、通電状態のまま計測器の点検調整ができるという利点をもつ。また日本でも1979年の防爆指針改正後、0種場所(爆発性雰囲気が連続して、または長時間滞在する区域)では、本質安全防爆以外は使えないことになった。 本質安全防爆の対象となる可燃性ガスは、その着火エネルギーと発火温度によって表1のごとく分類され、着火エネルギーと発火温度の最低を組み合わせたUCT6が最も厳しい等級となる。()産業安全技術協会の形式検定でUCT6の基準に合格した機器は、ガスの種類によらずどのような場所にも設置できる。

 3. 太陽電池の特性 

 太陽電池の特性は図2に示すように、受光面への入射エネルギーが増えると出力電流は増すが、出力電圧は一定値で飽和する。出力電流の最大値は受光面積で決まるので、ある面積以下の太陽電池を使えば、出力電流と電圧は一定値内に収まり、これが本質防爆条件を満たせばよい。したがって適当なサイズの太陽電池を選べば「本質的に安全なシステム構成要素」となる。           

 このアイデアは(社)日本計量機器工業連合会が着想したもので、すでに1998年から2000年にかけて、「ケーブルレス計量計測機器調査研究」という研究プロジェクトを実施し、報告書2編を発行した。本稿はその先行事例を参考にもう一段具体化したデザインを検討するものである。

 また太陽電池には次のような特性があり使用時に注意されたい。

図2 太陽電池の特性

1) 逆流現象
日没後発電が止まると二次電池から電流が逆に流れ太陽電池が発熱する。したがって逆流防止ダイオードは必須である。ただし、多くの太陽電池はダイオードを内蔵しており、二重に付けるとエネルギーの損失を招く。また充放電コントローラが逆流防止機能を受け持つ場合もある。

2) 受光面の影
受光面の一部が日陰に入るとその部分のセルが発電機能を失い、それと直列につながる他のセル群に対し抵抗となって全体の発電量が大幅に低下する。発電時間帯に太陽電池が部分的にでも日陰に入らぬよう注意されたい。

3) 取り付け角度  
太陽電池の発電量を最大にするには常に受光面を太陽と直角に保つ必要がある。しかし
ながら太陽の位置は時々刻々変化し、季節的な変動要因もあるので自動追尾装置なしに行 うことはできない。固定設置の場合、日本の緯度では水平面から30°傾け、真南の方角に 向けて設置するのがベストとされている。  

3.太陽電池の仕様検討
太陽電池の仕様を決めるには、組み合わせるワイヤレス機器と設置場所および対象ガスを特定する必要がある。今回は検討結果を多くの事例に応用するためUCT6を満たす最大サイズを検討することにしよう。

 本質安全防爆機器の安全性テストは、爆発性雰囲気中で火花を飛ばし着火しないことを確認する。テストは抵抗性、誘導性、容量性の3種類の回路について行うが、まず基本となる抵抗性回路でのテストに合格するよう、図3のグラフを用いて電圧と電流を一定値以下に抑える必要がある。

 太陽電池の出力電圧は組み合わせる二次電池の電圧に応じ6V12V24V級に分かれる。実際の最大出力電圧は、二次電池の満充電電圧と逆流防止ダイオードによる電圧降下分を考慮し、高めに設定されている。市販されている製品のカタログを調べると、6V級はセンサ用として出力電流が過小、逆に24V級は過大であり、12V級がセンサに適したサイズを探しやすい。太陽電池には単結晶、多結晶、アモルファスの3種類があり、それぞれ発電効率とコストが異なるが、センサ用の小型パネルでは、これらの差は問題とならない。

出力電圧・電流が図3のUCカーブの左側にある具体的な製品として、MSKSX-5MPm:最大出力4.5W Ipm:最大出力動作電流0.27A、Vpm:最大出力動作電圧16.5V)を選び、どの程度の発電量が得られるか検討してみよう。

一日当たりの平均発電時間を3.3hとすれば、この太陽電池から得られる電気量は単純に計算すると0.27×3.3h=0.9Ah)となるが、太陽電池の出力電流はカタログ値に0.8程度の補正係数を掛け0.7Ahと見積もるのが妥当である。すなわちこれが一日あたりの最大許容消費電気量となる。ただし、日照時間の少ない地方では平均発電時間を2.2/日と控えめにみる場合もあり、状況に応じた判断がなされている。 

4.二次電池の選定と安全対策
 二次電池のサイズを決める条件は、一日当たりの消費電気量と連続無日照日である。前節で求めた発電量以内の0.5Ahを毎日消費し、連続無日照日を5日と想定すると0.5×52.5Ah)となり、放電深度を50%とすれば必要な容量は2.5÷0.55Ah)となる。ただし、これは無日照日の開始時に二次電池は満充電状態と想定しており、かならずしも5日間の安全性を保障するわけではない。また、気象条件の厳しい地方では連続無日照日を10日と想定する場合もあり、自然エネルギーを経済的に利用するには、地域的な気象条件を考慮しなければならない。ちなみに2000年の年間日照時間は第1位が名古屋の2162h、最下位が札幌の1582hで約3割の違いがある。

 二次電池はシール鉛蓄電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池と各種あるが、この程度の容量にはシール鉛蓄電池が経済的である。2Ah台になるとAAサイズ(単三型)のニッケル水素電池が価格的に有利となる。リチウムイオン電池は高価な上使い方も難しい。ニッカド電池は廃棄時の問題に問題があり、価格・性能についても有利な点はなく特に選択すべき理由は無い。

図3 抵抗性回路の最小点火電流

 充電状態の二次電池を短絡すれば大きな火花が飛び、当然ながら本質安全の条件を満たさない。3節で紹介した先行事例では二次電池を耐圧防爆容器に収め、外部回路との間に電流制限バリアを入れていたが、これでは高価で重いシステムになってしまう。改良案として図4に示すように点線内の裸充電部をすべてモールドし、短絡事故が起きても電流値を安全な範囲に抑えるシステムを提案したい。ダイオードを2個直列に入れたのは防爆技術基準を満たすためである。電流制限素子は捲線抵抗または金属皮膜抵抗を使えば1個でよい。  

 

図4 本質安全型太陽電池電源

5.連続試験レイアウト 

 前項までの見積もり計算の妥当性を実証するため、図5、写真1・2に示すレイアウトで連続試験を開始した。

図5中構成要素の仕様は次のとおり。

太陽電池MSK SX-5M(最大出力4.5W、最大出力動作電流0.27A、最大出力動作電圧16.5V)

二次電池6VX(6V5AHシール鉛蓄電池)2個直列

負荷LED25mA通電

データロガー:ティーアンドディーVR-71(INPUT1=二次電池電圧、INPUT2=充電電流)

試験データ(EXCEL形式)9/19追記

図5 実験レイアウト

写真1 実験セット外観  

写真2 実験セット内部(データロガーと二次電池)

 

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